16.海が好きになる

沖縄で生まれ育つも、海に対する温度感は低かった。
人並みに海水浴をするし、ビーチパーティーもやる。しかし海は、数ある娯楽の選択肢の中の一つでしかなかった。

今年に入って、ちょっと疲れることとか、疲れがたまること、かなり疲れることがあった時に、ふと海を眺めたくなり車でサクッと隙間時間に夕陽を眺めに行く。

海を眺めていると不思議な気持ちになる。自分の悩みや不安などを全て包んでくれるような壮大さと、あるいは全てを飲み込んでしまいそうな怖さも少しだけある。

私のお気に入りの海、北谷町・宮城海岸では、多くの人が集まり、海を眺めている。ジョギングや犬の散歩をしている米軍関係者と思われる「良き隣人」、青春を体現しているかのように語り合う若者、ダイビングをしている観光客…。三者三様だが、そこには海を楽しむ人たちの姿がある。

そんな大好きな場所に、最近お店がオープンした。チキンオーバーライスの美味いお店。
元々は家の近所にあったのだが、最近移転オープンした。
料理に定評があり、私もよく一人でフラっと食べに行くと店主から「大盛りにしておくよ」と可愛がってもらい、愛していたお店だ。

愛していた場所に、愛していたお店ができる…。さらに、私の弟がたまたまそのお店でコックとして働くことになった。愛している弟…とは断言できないが、偶然は重なる。何かと縁があるこの海沿いの街を、私は好きになってしまった。

単純に、疲れや悩みが吹き飛べば、足繁く通うこともないのかなと思いつつ、仕事用のオフィスを海の近くに借りるのも悪くないと思い、物件サイトを眺めるとあまりの家賃の高さにタピオカミルクティーを吹き出しそうになる。

えいやで借りたら、それこそ悩みの種になるところだった…。海に呑まれないようにしないと。

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